叡智 ― 困難を乗り越える知恵
「叡智」とは、単なる知識や情報の蓄積ではなく、それらを活用して新しい道を切り拓く力です。私はこの力を、「逆境を乗り越え、自らの力に変えていく創造的なたくましさ」だと考えています。誰にでも、思うようにいかないことや、壁にぶつかることはあります。しかし、そうした経験に対して、「これは自分が一段高く成長するためのきっかけだ」と受けとめることができる人は、その先の未来を大きく変えていくことができます。たとえば、部活動での挫折、思うように伸びない成績…そうした場面でこそ、自分の内面が試されます。心の姿勢ひとつで、困難は糧となり、自分を鍛える最高の教材になります。また、順調に物事が進んでいるときにも、油断せず、誠実に努力を積み重ねる姿勢が、本物の力を育てるのです。叡智とは、状況に左右されず、自らの手で道を切り拓いていく、しなやかで前向きな力なのです。
高志 ― 大きな夢と一歩ずつの歩み
「高志」とは、心の中に大きな目標や理想を持ち、それに向かって歩み続ける意志の強さです。若い皆さんには、制限なく夢を描いてほしいと願っています。たとえその夢が遠く険しく感じられたとしても、「挑戦することで、自分は成長できる」と信じて、一歩を踏み出す勇気を持ってください。大切なのは、夢を描くだけで終わらせるのではなく、日々の小さな努力を積み重ねていくことです。夢は、行動し続ける人にしか近づいてきません。高校の三年間は、その「小さな一歩」をコツコツと重ねる、かけがえのない時間です。未来の自分は、今の自分の選択と行動によって形づくられていきます。壮大な夢は、この一歩から始まるのです。
協調 ― 人とつながり、支え合う力
私たちは、一人では生きていけません。友人とともに学び、語り合い、支え合いながら過ごす高校生活の中で、「協調」の心は育まれます。「協調」とは、相手を思いやり、自分と異なる考え方を尊重しながら、よりよい関係を築こうとする姿勢です。行事や部活動で力を合わせるとき、悩んでいる友人にそっと声をかけるとき、そうした日常の積み重ねが、人とつながる力を深めていきます。社会に出れば、なおさら他者との関わりが重要になります。いま世界で活躍している多くの人や企業も、「誰かのために何ができるか」を真剣に考え、行動し続けています。他者と共に歩みながら、自分らしく輝くこと、その力を、高校生活の中でぜひ育んでください。
浦和麗明高等学校校長 廣瀬 直樹